一枚の乗車券で

ここでは、コラムっぽい感じで一枚の乗車券の可能性に迫ります。

①私鉄へ乗り換えるときも1枚の乗車券で

連絡乗車券は駅の自動販売機でも購入できます。しかし、ここで紹介するのは普通の券売機では購入できない乗車券です。

代表例は小田急線の新宿～JR東海の御殿場駅までを直通する特急「ふじさん」号に乗車する場合(このように、JR～私鉄の連絡を「連絡運輸」といいます)や、途中で第三セクターの智頭急行線を経由して大阪と鳥取を結ぶ特急「スーパーはくと」に乗車する場合(このように、JR～私鉄～JRの連絡を「通過連絡運輸」といいます)が有名です。他にも、中央線中野接続の東京メトロのきっぷなど、特急の直通があったり近距離のものなら通常の券売機で簡単に買うことができます。しかし、事前に必要という場合は通常の券売機では当日分しか購入できません。事前の用意が必要な場合はJRの「みどりの窓口」などで駅員に頼めば頑張って発券してくれます。

上の乗車券はJR東日本の某駅から京急空港線・羽田空港国内線ターミナル駅までの連絡乗車券です。このような通常より幅の広い横120mmの乗車券(通常は80mm)は、自動改札機を通れない欠点があります。しかし、みどりの窓口で駅員に注文して購入することで解決できます。

②インターネット購入でお得に、安く。

近年のデジタル化はすさまじいものですが、実はJR及び旧国鉄の乗車券のオンライン発券システムは1960年に初号機が稼働。日本で一番歴史の長いオンラインシステムです。

進化した現在では、インターネットを利用して自分で乗車券や特急券を購入できるシステムがあります。

例えば上の新幹線の特急券、左下に「えきねっと発券」とあるかと思います。これはJR東日本のオンラインサービス「えきねっと」で予約し、駅の自動販売機で登録したクレジットカードを利用して購入したものです。同様のサービスはJR西日本の「e5489」や、東海道・山陽新幹線専用の「エクスプレス予約」などがあります

これらを使う利点として、駅でわざわざ窓口に行かなくていいことの他に、通常の乗車券の販売は乗車日の一か月前であるのに対し、こちらではその1週間前から事前予約ができるという点、その場合最大で乗車券・指定席特急券が３割以上の値引きをされることがある点もあります。

③新幹線とお得にアクセス

長距離を移動するときに困るのが特急料金。

JRはそんな人たちの救済措置として、新幹線と在来線特急を乗換駅到着の翌日までに乗り継ぐ予定で、かつ2枚の特急券を同時に買った人向けに、在来線特急の特急料金を半額にする「乗継割引」を実施しております。

例えば上の特急券、通常、8月の特急「サンダーバード」号の金沢～大阪間の指定席特急料金は3100円(通常期は2900円ですが、8月は繁忙期なので200円加算されます)ですが、下に「乗継」と大きくあるこの特急券はなんと半額の1550円。これは、長野～金沢で北陸新幹線に乗車していたから乗り継ぎ割引が適用されたのです。

他にも、新潟駅で上越新幹線と特急「いなほ」号と乗り継ぐ場合、名古屋駅または米原駅で東海道新幹線と特急「しらさぎ号」と乗り継ぐ場合など、多くの場合で適用されます(しかし、富山駅で北陸新幹線と特急「ひだ」号を乗り継ぐ場合など、適用されない場合もありますのでご確認ください。

④急な予定も大丈夫。乗車変更

急に外せない仕事の用事が入り、一か月前からホテルも予約しきっぷも買ったのに家族旅行に行けなくなった人へ、嬉しいお知らせです。

JRの乗車券は、同じ種類のきっぷであれば一度だけ手数料なしで自由に変更できます。

例えば上の特急券、右下に「乗変」とあるのが分かるかと思います。この特急券は乗車する列車を一本早いのに変更したものです。もちろん手数料は取られませんでした。

この乗車変更の凄いところは、日付をずらすことや列車を変えることはもちろんですが、「乗車券」ならば他のどの区間の乗車券へ、「特急券」なら他のどの特急券へ(但し自由席特急券は指定席特急券にできますが、逆はできません)、変更する日に販売しているもの(=つまり1ヶ月先の任意の日)に自由に変更できるという点にあります。

しかも、例えば新宿から高崎(1940円)の乗車券を、JRで最も安い乗車券である大阪から天満(120円)の乗車券に変更する場合、1720円の差額が発生しますが、それらは全部手元に帰ってきます。払い戻し手数料は最低でも220円かかるので、乗車券の場合は大阪から天満に、自由席特急券の場合は同じく最安の博多から博多南(100円)に変更すると、手数料を最小限にとどめることができます。もちろん、逆の場合はしっかり差額を払いましょう。

あとホテルに関しては多くの場合前々日までのキャンセルなら無手数料なので安心してください。